鍼灸コラム
保険で出来る鍼灸について
あまり知られてはいませんが鍼灸にも健康保険制度があります。
寝たきりの方など通院が困難な家庭への訪問診療も出来ます。
注意事項
・当院で扱いがあるのは後期高齢者および国民健康保険のみです
これは制度的な問題では無く院長があまり目がよくなく他の保険組織の申請書は
字が小さすぎて書類が作成出来ないことが理由です。
同様の理由で往診は平日の11時から15時までのごく近所に限定しています。
ただ治療可能時間がとても短いのでキチンと通院できない方には不向きです。
残念ながら病院で使うように保険証を提出すれば即座になんでも適応される
制度にはなっていません。違いを大まかに言うと、
病院:健康保険で受けた医療行為の料金に割引き制度がある。
鍼灸:実費治療でかかったお金の一部に健康保険から還付
(要はキャッシュバックです)が受けられる場合がある。
ということです。
「場合がある」というところがポイントで、保険が適応されるには条件があります。
条件というのを見てみましょう。あまり細かいところまで書かずにざっといきます。
1.健康保険による還付制度を取り扱える鍼灸院である。
制度を利用するには色々と事前の手続きがあり、また鍼灸師が大きな
鍼灸師団体に所属している必要があります。
2.医師が鍼灸治療を受けることに同意している。
かかりつけのお医者さんに専用の同意書を書いて貰わなければいけません。
これはご自身で病院に赴いて診察を受けてから書いて貰うものです。
料金が発生しますが額は病院によって様々です。
また三ヶ月ごとに鍼灸を継続して良いかお医者さんの許可を口頭で貰わなければいけません。
なので先ほど通院出来ない人には不向きと書いた理由はこれです、再発行でお金を何度も払うと赤字になってしまいます
3.法律で指定された疾患であること。
同意書の中に指定された疾患が書いてあるので、それのどれか
一つに合致しなければいけません。
残念ながらそれ以外の疾患に関しては一切適応できないのです。
4.その疾患に関して病院で治療や投薬を受けていないこと。
かなり重要な条件で「同時に同じ病気で病院の掛け持ちは出来ない」
という健康保険の大原則に抵触してしまいます。
同意書で指定された疾患の中には投薬が必要な疾患が混ざっているのですが
役所に問い合わせたところ「それでも掛け持ちは禁止」でした。
5.一つの症状に対してのみ適応
複数の疾患が合致しても還付があるのは一つの疾患だけです。
ですのであっちもこっちも治療すると言うことは不可能です。
また還付される金額はあまり多くありません。大まかに言えば1000円ちょっとです。
それに実費を数百円頂いたとしても採算的に治療時間は20分程度です。
全身では全然時間が足りません。そういう意味でも全身治療は出来ないように
なっています。
手続きのこと
還付に関しては本来、ご自身で役所に申請して後日振り込んで貰う制度ですが、
手続きが煩雑で大変なので鍼灸院が代行していいことになっています。
つまりお金の流れとしては
<1.自分で行う場合>
保険が適応される金額+自己負担分を鍼灸院に支払う
▼
ご自身で保険事務局に還付手続きをする
▼
数ヶ月後振り込まれる
・・・書類も複雑ですしかなり大変です
<2.一方、鍼灸院が代行する場合>
自己負担分を鍼灸院に支払う
保険適応金額は鍼灸院が立て替えておく
▼
鍼灸師が還付金を保険事務局に請求手続きをする
▼
数ヶ月後鍼灸師が保険分を受け取る
となり、患者さんは手続きに追われることはありません。
★当院は後者の代行方式です★
<余談>
時々「こんな面倒な手続きをしなくても保険証を出すだけで保険で鍼灸が受けられる」と
ご指摘がありますが、それは間違っています。言葉を濁して誤解が生じても困るのではっきり
言ってしまえば、それは保険制度を悪用した違法行為で、時々摘発されてニュースにでています。
ですので当院がその方法で行うことはありませんし、そもそも違法行為なので出来ません。
参考までにそういった不正請求が発覚した場合、患者さんも加入している健康保険事務所から
何らかのペナルティを受ける場合もあるそうです。
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