東洋医学コラム
六不治
健康になるためには治療を受けるだけでなく、日常の生活も改めなければ
ならないことも多いです。いわゆる生活指導を守るということですね。
ただ「都合の悪いことには目を向けず楽しく楽に生きたい」というのは
人間皆が持っている本能のようなものなので、いつの時代も困った患者さんは
いたようです。それを如実に表す一文が歴史の教科書にも出ている有名な歴史書、
司馬遷の「史記」で古代中国の名医、扁鵲(へんじゃく)の言葉として遺っています。
一つ一つ書き出して下に解説を書いてみましょう。
六不治(これらのうちどれかが当てはまる人は治りにくいもしくは治らない)
1.驕恣不論理
プライドばかり高くて医者の話を聞いちゃいないひとや自分の都合のいいように
曲解してキチンと理解する気がない人のことです。
要はものの道理が通じない人ですね。たしかにとても困ります。
2.軽身重財
身体を大事にせず節約とケチをはき違えて適時に適切な養生をしないひとのことです。
現代風に言えば仕事人間で無理ばっかりする人や病気しても「寝てれば治る」が
口癖みたいな人ですね。手遅れになる悪い例としてよく健康番組で再現ドラマに
されちゃうタイプです。
3.衣食不適
衣食住が健康的ではないひとのことです。
冷え性で悩んでいるのに露出度の高いセクシーな服を着て歩いているお嬢さん。
高血圧なのにお酒飲んでたりラーメンを汁まで飲み干したりするお父さんなどなど
衣食は結構笑い話として扱われますが住は深刻な場合があります。
公害、騒音、シックハウス症候群など住む場所に問題があると言ってもすぐには
どうしようもない事態がそれですね、こうなるとかなり切実です。
ちなみに最近某お笑いタレントが結核で入院しましたが結核自体は現代日本でも意外に
多いのです。特に汚い部屋に住んでいる若者の発症率がとても高いのが特徴になっています。
ホコリやゴミが溜まった部屋に住んでいる人は急いで掃除をして風を通しましょう。
4.蔵気不定
翻訳すると「陰陽が五臓に停滞し、気が安定しない状態」です。・・・判りづらいですね。
簡単に言うといつも怒っていたり悲しんでいたりストレスが溜まっていたりして自律神経が
不安定な人とかのことです。
ストレスが引き起こす病に関しては今更ここに書くまでもないほど本やテレビで扱われてますね。
5.形羸不能服薬
身体が衰弱しきって、薬ものめない状態のことです。
昔は点滴などの便利な方法がなかったので薬が飲めない人は手遅れとみなして医者は
治療せずに帰ったそうです。現代でも「手の施しようがない」と医者が言うときですね。
6.信巫不信医
占いや宗教に頼って医学を信じないひとのことです。
占いや宗教で病気が治るならその道のプロである教祖様やお坊さんや占い師の皆さんは
みんな理想体型の超健康体ですが実際の所そんなわけはありません。
信仰も占いも心のよりどころとしては良いですが盲信はいけませんね。
「信心が足りない、お布施が足りない」と始まったら即警戒です。
現に当院もお坊さんや牧師さんが来院しますがその方たちが不信心には全く見えません。
どうでしたか?
身に覚えがあって耳の痛い方も沢山いらっしゃると思います。医学が進歩して遺伝病など
当時は概念すらなかったため当てはまらない病もありますが基本的に今も昔も人間自体に
大差はありません。先人の言葉に耳を傾けてちょっと生活を顧みてみましょう。
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